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肉盛溶接

加工に「足し算」という選択を。
“盛ってつくる”肉盛溶接。

肉盛溶接とは、金属部品の特定部位に金属を“盛る”ことで、耐摩耗性・耐食性・耐熱性などの機能を付加するほか、摩耗や欠損で失われた寸法・形状を復元し、部品としての役割を再構築する加工技術です。「金型の一部だけを硬化させ、摩耗しにくくしたい」「鉄の母材に、表面だけステライトを盛って高硬度に仕上げたい」といったご要望にもお応えする施工だけでなく、部品の割れ部などの補修にも対応しています。必要な箇所に、必要な性能を加える高度な加工技術として、多くの企業様にご依頼いただいています。

ステライトなどの特殊合金を用いた耐摩耗・耐熱・耐食処理はもちろん、寸法復元や補修にも、性能付加にも、形状再生にも――私たちは、“盛る”ことで部品に新たな価値を与えるプロフェッショナルです。

before
before写真
after
after写真

肉盛溶接のメリット

  • 必要な部分だけを強化できるから、材料コストを抑えて性能アップできる
  • 摩耗や欠け、寸法のズレを元の形に戻せる
  • 補修して再利用できるから、部品の寿命が延びる
  • 特殊合金を使って、母材にはない性能を加えられる
  • 新品の部品にも使えて、仕上げや機能追加ができる
  • 廃棄を減らして、環境負荷も少なくできる

性能付加型 肉盛溶接

性能付加型 肉盛溶接

必要な機能を、
必要な場所に“盛る”。

井田熔接が主力とするのは、ステライトやコルモノイなどの特殊合金を用いた「性能付加型 肉盛溶接」です。
産業機器、船舶・自動車・発電関係など、幅広い部品に対して合金を溶接し耐摩耗性・耐熱性・耐食性といった機能を、必要な箇所にだけ加える高度な肉盛技術を提供しています。
「削って仕上げる」のではなく、「盛って整える」。材料特性を考慮し、用途・形状に応じて最適な合金を選定。すべて熟練職人による手作業で、図面のない製品でも柔軟に対応します。
たとえば、「摩耗しやすい金型の角部のみを硬化」「腐食が進みやすい表面に耐食合金を局所施工」「熱が集中する領域にだけ耐熱層を形成」
新作時でも、補修時でも、性能付加の肉盛溶接は多くの企業様に選ばれています。
必要な機能を、必要な場所にだけ付加する。それが、井田熔接が提案する“肉盛溶接”の価値です。
設計段階からの溶接前形状のご相談にも柔軟に対応しています。

ステライト鍛造品・鋳造品の取り扱いについて

井田熔接では、オールステライト材の鋳造品および鍛造品の取り扱いも行っております。優れた耐摩耗性・耐熱性・耐食性を兼ね備えるステライト合金は、過酷な環境下における構造部品や工業用刃物などに最適な材料です。

ステライト鋳造品

ステライト鋳造品

ステライト6B相当品(丸棒)
適合規格
AMS5894C
サイズ
最少径15mmΦ~最大径200mmΦ
対応可能な長さ
100~1500mm(プレート形状もあり)
主な用途
石油精製装置部品:ボーリング機械部
電力業界:蒸気タービン翼
バルブ部品:バタフライバルブ、チェックバルブ、ゲートバルブ、ボールバルブなど
ステライト鋳造品(プレート)

ステライト鍛造品

ステライト6K相当品(プレート)
板材のサイズ
最少厚み1.5mm~最大厚5.0mm
主な用途
ガラスファイバー切断用刃物、ハサミ 、ガラス瓶切断用刃物、工業用刃物、スクレーパーなど

割れ再生型 補修溶接

割れ再生型 補修溶接

割れ部の補修で、
再び使える状態へ。

使用中に発生する割れやクラックに対しては、「割れ再生型 補修溶接」として、必要最小限の肉盛で再利用可能な状態へと復元します。
熱応力や機械的衝撃によって生じたクラックを完全に除去し、品物に最も適した溶接材料で丁寧に補修。再割れや剥離リスクを抑え、長期的に信頼できる品質を実現します。
新しい部品を調達する前に、一度ご相談ください。図面がなくても、職人の目と手で状態を見極め、最適な補修方法をご提案します。

割れ補修の工程

  • 状態確認
  • PT検査(割れ部確認)
  • 予熱
  • ガウジング(割れ部除去)
  • 空冷(常温まで)
  • 再PT検査
  • 再予熱
  • 補修溶接
  • 後熱
  • 徐冷
  • 完了

割れ補修のメリット

  • 割れの完全除去が可能

    機械加工では困難な複雑な内部割れも、ガウジングとPT検査で確実に除去します。

  • 強度・形状を保ったまま再生

    “リシンク”と違い、正常な部位を削らず補修できるため、母材の強度や厚みを維持できます。

  • 繰り返し補修が可能

    使用後に再び割れが発生しても、同工程での補修が可能です。
    母材と溶接部の境目が割れることもなく、長期的な再利用が可能です。

対象例

金型・ホルダー・ラム・ソーブロック・刃物・その他全ての品物が対象

割れ部除去後(ガウジング後)
割れ部除去後(ガウジング後)
ブッシュ摩耗部補修溶接
溶接補修後

形状再生型 補修溶接

形状再生型 補修溶接

摩耗・欠損・寸法ずれも、
盛って再生。

摩耗や欠け、破損などによって形状が崩れた部品も、「形状再生型 補修溶接」で元の寸法や精度に近づけることが可能です。対象箇所にのみ肉盛を行うことで、寸法再現と強度確保を同時に実現。仕上げ加工を見越した下地盛りにも対応しており、製品の寿命延長やコスト削減にも貢献します。
「捨てる前に直したい」「また使えるなら、それが一番いい」――そんなご要望に、井田熔接の補修技術が確かな再生力でお応えします。

摩耗補修の工程

  • 状態確認
  • 溶接材料の選定
  • 予熱
  • 補修溶接
  • 後熱
  • 徐冷
  • 完了

摩耗部補修のメリット

  • 材質を選べる

    必要に応じて、ステライトやコルモノイなどを用い、耐摩耗・耐食・耐熱性を向上させることが可能です。

  • ピンポイントでの施工が可能

    摩耗や欠損の大小に応じて最適な工法を選定し、必要な箇所だけを確実に補修できます。

  • 繰り返し補修が可能

    補修後も再び使用し、再摩耗後に再補修が可能。部品の延命とコスト削減につながります。

対象例

鍛造・プレス部品(インロー・つぶし・型面・角全般)・ローラー・スクリュー・粉砕機・ガイド・その他全ての品物が対象

摺動面ステライト溶接
摺動面ステライト溶接
ブッシュ摩耗部補修溶接
ブッシュ摩耗部補修溶接
インロー補修溶接
インロー補修溶接
ガイド補修溶接
ガイド補修溶接